それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

I wanna be your dog

みなさんは「poidog」って知ってますか? 知らないでしょ。僕もよく知らないのですが、簡単に言うと、ハワイ発祥の犬のキャラクターなんですね。アメリカの同時多発テロの時に、何か出来る事はないか的な事をハワイの人たちが考えて、このキャラクターの着ぐるみを平和の使者的な感じで派遣した事もあるくらいの、まぁ伝統があるんだかないんだかのキャラクターなんですけども。


何故、こんな話をするのか。話は黄金週間に遡ります。


その日、私は絶望的な体調不良の中、某ハワイアンなイベントのアルバイトをしていました。ふらふらしながらも雑務をこなす私。儚さの中に一筋の健気さ。美少女気質な自分にうっとりしながら倒れそうになっていると(高熱)、新たに仕事を割り振られました。

薄暗い倉庫に到着し、何やら身の危険と貞操の危機を感じていると、目の前にダンボールが置かれました。財宝かな?と思い、箱を開けると、中には薄汚い着ぐるみが。


「着て」


雇用者と被雇用者の関係と言うものは、資本主義の中では合法的な奴隷制度であるが故、その「着ぐるみで子供達と戯れる」という指令をこなす事に。


これが私とpoidogとの出会いだったのです。そして、この着ぐるみの歴史を聞くうちに、こんな体調不良の、準備時間30分の気持ち悪い人(私)が着ていい代物ぢゃない事が露わになっていきました。


前述したテロ後の着ぐるみの活躍。何と、この着ぐるみは一つしかないもので、アメリカの現場にも空輸された代物がそのまま私が着る予定のものだという事実。しかも、ハワイから海外に持ち出されたのは、この日本が初めてだと言う事。と言う事は即ち、ハワイアン以外でこの着ぐるみに袖を通す初めての外国人が、この半ニート(私)であるという現実。重いよ、現実が重いよ。何だか全身が重いよママン(高熱)。


そんな事実が次々に明らかになる中、この着ぐるみを着るに当たっての注意事項が私に告げられました。ミッキーとかもそうだと思うのですが、キャラクターのイメージを守るために、結構着ぐるみの動き方と言うのは制限が多いものだと思っていました。思っていた、という過去形が物悲しい。その注意事項。


「んーまぁ、アメリカンな感じで。犬の気持ちになってね。」


以上。厳密に言うともう一つ「中暑いから、頭と首にヒエピタ貼ってね。」と。


戦時中、日本には片道だけの燃料を飛行機に詰め込み、敵艦隊に突撃をしかける部隊がありました。そしてまた、竹槍というそのあまりにも頼りない武器を手に、日々来るべき敵の来襲に備えていた人達が、日本にはおりました。


歴史は繰り返す。


そんな言葉が頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えていく中(高熱)、私は身も心も犬で覆いつくし、子供達の中に突撃していきました。りめんばーパールハーバー。Do It! Now精神でしかなかったです。僕の未来行きの切符は誰が持っているのでしょうか。


まぁ兎にも角にも、無事役目は果たしましたし、ハワイアン的な大らかな精神で観ればOKだったのではないでしょうか。そんなこんな。おしマイケルアメリカ的な話の締め方という発想で)。