それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

そんなの誰も知らないし、

親も知らない。という事で歯を抜いてきました。虫歯になってずっとほっておいた親知らずが本格的に疼きだしたのです。勇気を振り絞り歯医者に行ったもののすぐに処置してくれず、何故かしばらく他の虫歯を治療していました。挙句の果てには病院をたらい回しさせられ、結果的に大きな総合病院の口腔外科の受付に佇む私がおりました。


そもそも、その総合病院にたどり着くのも一苦労だったのです。もうどうしても親知らずが痛いんや、と予約なしで歯医者に駆け込んだ私。処置台に案内されて、てっきり親知らずを抜いてくれるもんだとばっかり思っていた私に、先生は一言「口内炎の薬出しときますね」と。いや確かに口内炎もすっごい大きいのが二つ出来てて痛かったけれどもさ、等と思っているとさらに「○○病院に紹介状出しときますね」ととどめの一言。その歯医者で口内炎の薬を渡され、とぼとぼと帰宅。そして即、その総合病院に予約の電話を入れました。親知らずが痛んでいる事や紹介状がある事等を説明して、やっと予約の日程を決める段階にまで到達しました。さすがに当日駆け込めるとは思っていませんでしたが、何の気なしに何時頃なら予約できますかと尋ねると、衝撃の答えが。


「○○日の月曜以降なら……」


それ、二週間後。ちょっと笑っちゃいましたけども。何度聞きなおしても二週間後なんですってば。いやだから今痛いんだって。ちょっとなんとかしてよばかばかばか、と街中でよくみかけるちょっと不細工目の女の子みたいな心境になりつつ、とりあえずその日で予約して電話を切りました。しかし、電話を切ろうがきらまいが歯は痛み続けています。という事で、再度電話をかけ直す事に。よくよく聞くと、朝一で予約なしで受付まで来れば待ち時間はかかるけど診てもらえるかも、との事。翌日までバファリンで痛みを和らげる辛い日の女の子戦法で何とか持ちこたえ、受付まで馳せ参じたのです。


総合病院なんてめったにこないもんで、若干受付等にも手間取ったり、院内をレントゲンを撮ったりなんだりで往復しつつもようやく自分の順番に。色々と抜歯する事によって発生するかもしれない麻痺等の説明を受け、早くも逃げ出したくなったり。下の歯の親知らずは抜くのも大変だし、色々気をつけなくちゃいけない事が多々あるらしい。担当の先生および助手のかわいい女性の両名とも若干新人っぽい匂いのする方々で、抜歯中もさらに心配が募っていきました。歯を削っている最中、機械から突然水が噴出して顔にかかったり。助手の子がまだ口の中の水分を取る機械の操作に慣れていないせいか、何度か先生に注意されていたり。さらには先生が若干処置に自信が無かったのか、ベテラン先生まで呼んで来てのてんやわんやがあったり。私の親知らずも変な生え方をしていたせいもあって、予定の時間を大幅に過ぎた1時間半後、ようやく抜けたよ親知らず。


終わった後は何故かわかりませんが、センチメンタルな喪失感に浸ってました。喪失感。言うなれば処女を失ったかの様な虚脱感だった訳ですが、それにしては好きな人に捧げた幸福感の様なものが足りません。援交モノのAVで処女を捧げた感覚とでもいいましょうか。そんなこんなな感覚と顔の腫れ、そして抜いた歯を持ってとぼとぼと帰宅。幸い変な顔の麻痺なんかも起こらず、ホッとしております。顔は若干むくんでるのかしら。抜いたとこもまだ若干痛むしね。


と言う事で、そんな傷つく私を優しく包み込んでくれる方を募集しています。包み込まなくても良いです。よろしくお願い致します。