それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

「ハクバノ王子サマ(6)」 / 朔ユキ蔵


ハクバノ王子サマ 6 (ビッグコミックス)

ハクバノ王子サマ 6 (ビッグコミックス)


三十路もとうに過ぎた、32歳独身の女教師タカコサマと、新任教師の小津先生との恋物語。巻を重ねる毎に読み進めるのが辛くなっていきます。とにかくリアル。登場人物の感覚にも感情にも、どことなく説得力を感じる。個人的にこれは現代版のめぞん一刻だと思ってて、それがよりシリアスに、よりリアルになったっていう感触ですね。めぞんでいうと、響子さんにあたる役柄が小津先生の方。彼には遠距離恋愛中の恋人がいて、その存在がタカコサマに惹かれていく感情に歯止めをかけているし、またタカコサマからしても強引になれない要因になっている。これは響子さんが未亡人でその夫の存在が……っていうのと同じ構造ですよね。遠恋中の彼女の顔を意図的に見せない演出なんてまさに、って感じです。


この六巻ではついに二人が一線を越える(未遂だけど)訳だけど、その描写があんまりにも的確でもう、こっちはドキドキさせられっぱなし。お互いの生活だったり生き方も理解してて、一線を越えちゃいけないんだとわかってる者同士の心の遣り取りと、それでも惹かれあっていて、一線を越えたいっていう欲望だったり感情みたいなものが溢れ出して行く様が丁寧に描かれていく。そんな二人が海辺で、手を繋いで、少し離れてみて、また近づいて。口づけをしてみて。少しづつキスをして、また離れて、その後はもう止められなくなっていくっていう、この流れがあんまりにも秀逸だったから、ドキドキし過ぎてまだ続きを読めてないの。それくらいこのシーンの説得力、迫力は凄かった。いやぁー恋愛って素敵やん。