それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

スペイン坂テロリズム


先週のハロモニ。の時間、僕は色々あって九十九里浜まで徹夜でドライブをしていた帰り道だったんです。そんな折、どうしようもない女オタであるイシダさんからメールが来ていたので見てみると「りさこが可愛過ぎた。」という一文のみが送りつけられてきていました。それを見て僕は「あぁ、どうしようもないなぁ。」と思ったんですけども、帰って録画したハロモニを見てみると、そこには「りしゃこぉぉぉおぉぉぉぉ」と声にならない声を上げているどうしようもない僕の姿がありました。家族の中ではもう僕は帰らぬ人となっている訳なんですが、そろそろ自分自身、人生の幕引きを考えねばならない時期がきているようです。


さて、そんな冥土の土産にこれは一度ベリっこを見ておかなければいけないなと思い立ち、これまた運命に導かれるように渋谷でラジオの公開生放送があるという事だったので行って来ましたよBerryz工房@スペイン坂。もちろんイシダさんも彼氏のお母さんとの食事会を断ってまで参戦。何が僕らをそうまでさせたのか、そう、それはきっと渋谷がそうさせた。そんな今日は渋谷で五時な気分でスペイン坂へと向かうと、既に猛者達が長蛇の列をなしていました。まさか渋谷でロス暴動さながらの光景が見られるとは思ってもみませんでしたが、構わず整理券をいただいて列にゲートイン。またかなり後方だったため、この時点で見れない可能性もあるとの事を伝えられました。が、渋谷に至る道のりでもう僕らは色んな事を捨ててきていたので(食事会以外にも、大学を卒業できるかどうかの発表とか、そういう人生に深く関わってくる感じのイベント)、もう後戻りはできなかったのです。「後悔のない様にしよう」と二人で誓い合い、トイレすらガマンして電車に飛び乗り、大学から二時間かけて渋谷にダッシュしてきたのです。その途中で共通の友達に会ったりもしたのですが、そこでイシダさんが会話に上の空で意識が飛んでしまっていたのを僕は見逃しませんでした。卒業間際に友達関係すら捨ててここまで来ているのです。「後悔のない様に」するなら、今すぐオタを辞めて人生をやり直したい、絶対そっちの方がいいに決まってるんだ! でもその時の僕らには「見れない」という選択肢というか、そんな結末はありえなかった。ベリが、ベリが見たいんや。


しかし、生放送の時間は刻一刻と過ぎていきます。イシダさんは、列が進んでもうすぐベリに会えるかもしれないという期待感と時間がもう残り少ないという絶望感とで吐き気を催していました。しかし、時は無常にもラジオの終了時間である18時30分を過ぎてしまったのです。後ろを振り返ると、そこにはまだまだ列が伸びていく光景が。さながらシンドラーのリスト待ち。暴動かと思ったその時、係員が人数を数えながらスタジオの前まで列を進めていきました。高まる期待感。そして、僕らの三人前でまさかのストップ。死のう。それしか頭の中に感情が湧き上がってこなかったのは何時以来だったでしょうか。地獄です。ここは渋谷に生まれた生き地獄です。


地獄にクモの糸。永遠にも似た時の流れの後、係員の方が再び列を進め始めました。幸運にも、僕らはスタジオの目の前まで辿り着く事ができたのです。仕切りの向こう側に、メンバーが、いる。ふと横を見ると、イシダさんはもう震えていました。そして、いよいよメンバーのいるスタジオへ。トンネルを抜けるとそこは、アントワープ大聖堂。目の前にはルーベンスの傑作である「キリストの昇架」と「キリストの降架」が。記憶というものは至極曖昧で、時が経つ毎に薄ぼんやりとしたものになっていきます。最近、ファーストキスの思い出すら無くなってきている僕なのです。でも、でも僕は生涯、そこにいた天使であるところの菅谷梨沙子さんが放つ、真剣な眼差しを忘れる事はないでしょう。夏焼さんの話しを真剣に聞き入っている、あの目の輝き。そして、その奥で完全にぼーっとしていた須藤茉麻さんの事も。


その後どうなったのかも、どうやって渋谷から帰ってきたのかも、またどうやってこの文章を書いているのかもよくわかりません。パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。