それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

SUMMER SONIC 07 8/12 TOKYO


ふぁっきんサマーソニックに行ってきました。ご好意でチケットを譲ってもらえる事になったのが朝9時半。それから家を飛び出していって会場最寄り駅でチケットを受け取ったのが10時50分。そこからてくてく会場へ歩いていって到着したのが開演ジャストの11時。ロックの神様が僕を呼んでいたとしか考えられない訳で。そんな感じで早くも夏の日差しに頭をやられながら、ロッカーに荷物を入れてふらふらと。


DOES IT OFFEND YOU, YEAH?


ラジオ体操的に体を動かしてきたかったので、朝イチはダンスステージからと決めておりました。ロックをベースにしたダンサブルでノれるバンドでしたよ。派手さはないんだけどしっかり体の芯から揺さぶられる感覚。縦ノリジャンプ連発じゃなくて、こういかにもクラブで「俺、音楽わかってるんだぜ」的な感じで横に揺れてく感じのあれね。クラブとか行ったことないからわからんけども。メンバーも結構煽ってきて気合入ってるの伝わってきて好感触でした。


MSTRKRFT


真昼間からこんなテクノ聴いて体揺らしてていいんだろうか。贅沢過ぎるぜべいびー。この過度に健全過ぎる感じがたまんないよね。だって俺一滴も酒入ってないからね。周りも正しくリズムにのってるだけだから。中盤までの展開がかなりツボってたので楽しめました。無理矢理盛り上げようってとこもなく、しっかり展開作ってきたからね。ステキ。



ここでメッセに別れを告げ、いよいよマリンステージへ。炎天下の下とぼとぼと移動していると、そこらかしこのステージで音楽やらお笑いやらが演っていて、色んな刺激と誘惑に目も耳も体全てが釘付け状態。こういうのがフェスの楽しいところだぁね。飲まず食わずでのマリン突入は危険なので、マリンの外周(スタジアムの外には屋台やら小ステージが立っている)で飲み物をごきゅごきゅいただく。日陰と座るところを求めながらふらついていると、何だか体と目が勝手に吸い寄せられていきます。本能に引っ張られた先には、何だかエロイお姉さん達がエロイ格好をしながら踊ってらっしゃるステージ的なものがありました。世のオシャレお兄さん達には何てことのないオシャレダンサーさんなんでしょうが、僕みたいなふぁっきんおたくにとってはまさに桃源郷。「一日中、いようかな」「15000円、これに払ったと思って」等と考え、てたらたぶんまじでずっとそこにいちゃってたと思います。だから足早にそこを立ち去り、いざ酷暑と人が渦巻くアリーナへと潜入したのです。


THE FRATELLIS


「Henrietta」からスタートした今が旬の彼ら。素直に楽しめるロックンロールなんだけど、生で観た感じCDよりカントリー風味が強調されてたかな。バンドの持ってる雰囲気も洗練され過ぎてなくて、適度に野暮ったいというか人懐っこいとこが愛らしくて好感持てました。「Cuntry Boys & City Girls」とか青空の下で聴くのに丁度いいニュアンスだったかも。僕は下手前方から徐々にセンター付近に近づいてきながらゆったり鑑賞。気持ちよかったー。そんでもってラストに「Flathead」。ipodのCMで使われたアレです。やー盛り上がったねモッシュ起こったね。この時点でセンターまで進入成功してたので、もちろん巻き込まれちゃいました。フェスの最前付近で盛り上がる曲きたらモッシュっぽいのが起こるのもしょうがない(まぁ、サマソニだから)んだろうし、怪我しない程度に流れに身を任せてました。それにしても「Bara bap bara rarara」ってなんて単純でなんて素敵なフレーズなんだろね。これぞロックの魔力やねふぁっきん最高やん。


BLOC PARTY


フラテリスでびっくりするほど疲れてたしこの日の日差しはちょっとシャレにならない突き刺さり具合だったので、一旦スタンドで水分補給兼食事休憩。カレーを食いながらBLOC PARTYを観るという贅の極みを体感。前回のサマソニでも観たんだけど、その時より観客も舞台も数倍大きな規模になってどうなるかといったとこ。結果的にはとにかくヴォーカルのKeleが気合入りまくりで全部持ってっちゃったね。人によってはベストアクトに推すんじゃないかってくらいだった。舞台降りるわ観客中央突っ切ってPA卓まで走ってくはで観客大乱舞。カレー食うのもそこそこにアリーナに舞い戻って「Helicopter」で締め。やってる音楽的には屋内のメッセだと思うけど、今日はVoの気合勝ち。


MANIC STREET PREACHERS


本日の目玉。気合を入れてセンター最前付近に陣取る。すでに地面は水が撒かれてびしょびしょだしペットボトルは散乱してるわでプチ地獄絵図。周りもマニックスに思い入れありそうな人達が集まってきたとこで開演。つかいきなり「You Love Us」!!!! のっけからテンションMAX+大合唱。ってことはもちろん周囲もモッシュっていうかただのもみくちゃ状態。ちょーたのしーーー!! うぃーらぶあす!!! 叫んだわーいやー叫んだ。「From Despair To Where」でもうVoの気持ちがガッツンガッツン伝わってきてて、「YOUR LOVE ALONE IS NOT ENOUGH」とか普通に武骨で不器用なただのカッコイイ曲になっちゃってたし。そっから「Everything Must Go」とか反則でしょ絶対。美しすぎる。あまりにも、不器用で、美しい。諸行無常ってやつじゃないですか。周りには人にもみくちゃになりながらも感動して泣いてる人とかいて、思わずこっちもグッときた。それに輪をかけてVoのJamesをはじめバンドが気持ち入ってたもの、魂篭ってたもの。「STAY BEAUTIFUL」「MOTOWN JUNK」の流れでお腹いっぱいなのに、「DESIGN FOR LIFE」でしょ。もうMCで曲紹介されたとこで思わず声出ちゃったし。泣きながらふぁっきん大合唱ですよもう。UKバンドの何がいいってオシャレでも何でもないんだけどとにかく訳のわからない一体感が生まれるとこだよね。oasisもそうだけど、やっぱ労働者階級の、「俺達の」歌って感覚あるもん。日差しも落ちてきてさ、人も周りに溢れてて、汗臭くて、びしょ濡れで、でもそういうとこでこそ輝くバンドだったり楽曲っていうのもあるはずで、そんな事をこの日のマニックスには感じました。ベタをベタに演りきってくれる事への安心感であり信頼感。だって「You Stole The Sun From My Heart」とか冷静に考えたら相当恥ずかしい事言ってるのに、あの場だと素直に聴けちゃうもんね。ラストはリッチーに捧げた「MOTORCYCLE EMPTINESS」。リッチーがいた頃の事はまったく知らないし、それこそMOTOWN~におけるジョンレノンの様に感じたりもするんだけれど、でも多分、それでいいんだろう。全ては過ぎ去っていくべきこと、なんだろ? そして全ては、心の中に。僕のサマソニベストアクトでした。


KASABIAN


ふと気づけば、靴下までびしょ濡れ状態でアリーナに佇んでおりました。マニックスで汗もかいたし放水を全身に浴びていて、ちょっとしたレイプ状態になってたので一旦スタジアムに避難。椅子に座って休みながらKASABIANを観賞。視線を落とすと、自分の席の周りが水浸し。おもらししたみたいな辱めを受ける。それでもやっぱりカサビアンが夕暮れ時に素敵な空間を作り出していて夢中になってステージを見つめながらしばらくして再び目線を下に向けると、いつの間にやらきれいさっぱり乾いていて、お漏らしの痕跡一切なし。清々しい気分でアリーナへ飛び出していきました。アリーナに着いた頃には日も落ちて、次第に会場全体が闇に包まれておりました。やっぱりこのバンドには「闇」がよく似合う。僕はここでカサビアンを観る事通算三回目だったのですが、今回は格段にレベルアップした姿を見せてくれました。前々から彼らから溢れるサービス精神は感じていたのですが、今回はとにかく客を煽る煽る。どの程度日本の客がのってくれるかもわかってるので、手を挙げさせたりクラップさせたりととにかく客を参加させて一体感を持たせてて。そんでもって一曲ごとに「アリガト、トーキョー」って入れてくるもんだから、そりゃみんな付いていくよね。そしてパフォーマンスの質が上がるとともに、ついに「Club Foot」がラストナンバーじゃなくなってました。もちろんこの曲の切れ味は半端なくてセンター付近で僕はもみくちゃにされちゃってましたけども、それこそがもう、彼らのバンドとしての完成度が一段階上のクラスに達した事の証明だったんじゃないかと思います。そして締めの「L.S.F. (Lost Souls Forever)」があんまりにも素晴らしかったね。完璧だった。もともと楽曲の持つメロディの美しさもあるんだけど、それ以上に見事なまでに客を「合唱」させた彼らのライブパフォーマンスに「巧み」だわ。やっぱりライブにはライブの盛り上げ方があって、ライブで輝けるかどうかの才能があって、彼らにはそれがあったし身に付けてきたんだよね。とにかくバンドとしての「強さ」を感じたし、「わざと」毎年ヘッドライナーにしないだけの説得力と凄みを感じた。「来年も」きっと来るんだろうし、この日のライブを体感した人はきっと「来年を」楽しみにしてるんじゃないかな。圧巻。


Arctic Monkeys


自分的なサマソニの「トリ」を誰にするか迷いどころだったんだけど、やっぱり彼らにしました。どう考えても「旬」だし、今がターニングポイントになる事は目に見えてるんで。「This House Is A Circus」から開演。途端に堰を切ったかのように人がなだれ込んでくる、というか押し込んでくる。舞台センターでクリアにバンドを見渡せる位置にいたんだけど、あっという間に人人人の大混乱に。アクモンだし客層的にもそういう事なんだろうという事で意を決してより最前線のモッシュピット突入。負けねえ絶対負けねえという想いを胸に、っていうかここでもし崩れたり倒れたりしたら、俺、死ぬなっていうくらいの感触だったので必死、とにかく必死。そこに「Brianstorm」突っ込んでくるバンドもバンドだけど、輪をかけたなオーディエンス。前の方ではしゃいでたオンナノコ達が続々と後方へ脱落していく。とにかくイントロがめちゃカッコイイ曲が多いので、曲が変わるたびに勢いが吹き返してくる訳ですよ。ゾンビか。中盤までは文字通り怒涛の勢いとテンションで突き進んでいって、これは死ぬなと、そんな覚悟とともに熱気と酸欠状態。そんな中で、とにかくバンドの勢いもそうだけど、すごくいい意味でのふてぶてしさを感じましたね。曲の感触がとにかく尖ってて、客も盛り上がってるんだけど、舞台とは距離があるというか。バンドがオーディエンスと距離感をとり続けてる、壁を作ってるとこがあって、そこが前のカサビアンと対極でおもしろいなぁと。すっごいソリッドだった。ただそんな緊張感も中盤以降は緩んじゃったかな。客も疲れちゃってたし、バンドもちょっと息切れしてた感があったように思う。必殺技がまだなかったのも一因かも。これを演れば絶対客が盛り上がる、締まる曲があるとやっぱり違うよ。それが「Creep」であり「Don't Look Back in Anger」なんだと思うし、そういうのをあえてやらなかったり拒否する事こそがArctic Monkeysなんだっていうとこもあるんだろうけど、一曲で全てをねじ伏せる様なそれがあれば、ヘッドライナーとしての評価もブレなかったんじゃないかと。ただ、それでもこのバンドの持ってるポテンシャルの高さは充分に感じ取れました。ライブ前より確実に好きになりましたしね。


最後は花火。気づけば全身びしょぬれ。意味わかんないくらいびしょびしょ。周りはカップルだらけ。とりあえずどなたかお友達から仲良くなりましょう的な感じの寂しさを抱えながら、それでも音楽にまみれた一日の幸福感を持って、マリンスタジアムのロッカーの片隅で、一人で夜空と人の流れを見つめながら、来年もまたここに戻ってこようと、今年の思い出を反芻しておりました。