それにはあまり意味がない

自由に生きて、強く死ぬ。

あなたと握手。(前編)


うわぁぁぁぁぁぁぁぁ、こんなに、こんなに握手というものがどきどきするものだとは思いませんでした。いや、正確にいえばまだ、はつがどきどきしている途中の段階なのです。あれは、朝6時半頃でしたか。目覚ましをかけずとも自然と眼が覚め、当たり前のようにシャワーを浴び、さっと着替えを済まし、家を出る。ここまでの所要時間約15分。いつもの見慣れた道を自転車で進んでいく、僕。足取りは軽い。程なく目的地のショッピングモールに到着し、自転車を停め、歩を進める。全ては見慣れた道の見慣れた光景。しかし、しかし!! ショッピングモールの中心地にあるイベント広場には朝っぱらからオタ! ヲタの群れが!!! でもしゃぁない。しゃあないやんか、だってきゅーとと、℃-uteと朝から3時間並んでるだけで握手できるって言われたら並ばざる得ないやないかっっっ! もうね、握手なんてした日にはね絶対これ矢島さんに恋をしてしまうわぁ、なんて気持ち悪いことを考えながら列の最後尾へ。そうなんです、今日は東京にて開催される、℃-uteの「江戸の手毬唄?」の握手会の参加権を手に入れてやったのです。


ぼーっとしながら朝っぱらの3時間、何をするでもなくCD発売までの時間を過ごしていると、だんだんと緊張感が高まってきました。今まで、僕が握手したことのある方といえば、YUKO NAKAZAWAこと中澤裕子さんのみ。中澤さんはとてもお優しくてこちらが何もせずとも向こうから気遣って声をおかけいただいたのですけれども、やはり℃-uteさんの握手会ともなれば事情は別。話に聞けば、比喩ではなく光の速度で7人を通り過ぎることになる上に、少しでも立ち止まろうものなら係員に吹き飛ばされるというアウシュビッツ並みの強制連行が展開されるとのこと。これはしっかりと作戦を立てないとやられる、否、殺られると覚悟を決め、早速アタマの中で妄想握手会を敢行する事と相成りました。


事前の調査によって、握手の順番はほぼ「梅田 → 矢島 → 中島 → 鈴木 → 岡井 → 萩原 → 有原(敬称略)」で固定されているとの情報を得ました。そしてさらに、どんなに長くとも一人あたり1.5秒くらいしか時間は与えられないだろうというアドバイスも、握手の達人からいただきました。まぁ、僕的に彼女達に伝えたいことはといえば「ありがとう」の一言くらいなんだけれども、そうなると


僕    「ありがとう」

梅田さん 「ありがとうございます」

僕    「ありがとう」

矢島さん 「ありがとうございます」

以下、ループ


ということになってしまい、それはそれでなんだかなぁという感じになってしまうので、ここは一つ「ありがとうございます」以外のリアクションをきゅーとさん達から施していただくことを目標とすることにしてみました。で、これが考え始めるともう難しいのなんの。時間制限があるため、こっちのセリフは10文字くらいでまとめなきゃいけないし、相手があまり考え込んでしまうようなことを言うと、リアクションが返ってくる前に次に行かなきゃいけなくなってしまうし、そもそもこっちがセリフをかんでしまったり小声で聞き取れなければそれだけでアウトな訳です。それよりもなによりも、目の前に彼女達がいる、「いる」ということを想像しただけでドキドキしちゃうし、そんな中でまともに喋れるかも怪しいのに、まして考えてきたセリフを搾り出す余裕があるかどうか。だって、だってさ、いるんだよ? ℃-uteがそこにいるんだよ? しゃべったり笑ったり息したりしながら、目の前にいるんだぜ? それってものすげぇことだと思わない?


とかなんとか書いてる、今、この瞬間もどきどきしてきたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! やばいよやばい、このままだと頭おかしくなるし、握手会までに心臓がとまっちゃうよ。だってこれ書いてるのまだ15:40だよ? 握手会までまだ4時間も、って4時間しかねぇぇしっ、え、まじ? うそ、どうしよう、おめかししなきゃじゃん、つか、おめかしなんて言える洋服も容姿ももってねぇし。あぁまた鏡を見つめてる、どうしてこんな顔よ!! 生まれ変わりたい、完璧な容姿とトーク力を兼ね備えた男に生まれ変わりたい。そうでなければ、つんくになりたい。つんくに成り代わって、毎日彼女達と接することで免疫をつけ、それから握手会に臨みたい。つんく♂、握手会に登場、的な。なんでプロデューサーなのに朝もはよから握手会に並ばにゃならんのかわからんけれども、それもロックやん。


うわぁ、つかなんか全部どうでもよくなってきたわ。生きてるだけでまるもうけ、そんな言葉が頭をよぎります。とりあえずベリとキュートの合コンのDVDを観続けているわけなんですけど、とにかく漲ってきています。今の僕にはこうして、言葉を垂れ流す事でしか自我をコントロールする術が見当たらないのです。追い込まれてます追い詰められてます。意味もなく、中学生の頃からの自分の人生を反芻してみたりしています。素敵な人生見つめてる、大人に近づくから。そう、本日、8月4日をもって、僕はまた大人の階段を一歩登ります。お父さん、お母さん、ごめんなさい。僕はどうやら登るべき山を間違えてしまったような予感がしています。でも、後悔はしていません。もう後戻りはできんのや。


あーまだ握手してないのにこんなに書き散らかしちゃって、終わったら俺、どうなってるんだろ。想像がつかん。